2016年の人工知能ブームにおいて,マーケティング分野に軸足をいて一番わかりやすく解説をして来た人物は,ゼロスタートの山崎徳之氏だったと思います.山崎氏の人工知能についての話を聞いたのは,2016年3月に行われたMarkeZine Day 2016 Spring(http://event.shoeisha.jp/mzday/20160303/timetable)での「【B-6】人工知能に期待されるオムニチャネルの進化とビッグデータ活用の実践:山崎 徳之 [ゼロスタート] 」が最初でした.このとき,山崎氏は自社のサービスとは関係なく(公演中にも自社サービスの話はいまはどうでもよいようなことを言っていました),マーケティングでもブームになり始めている人工知能とはどういうことなのかをこれまでの流れを含めてわかりやすく,興味深く話してくれました.経営者ゆえに自社のサービスを紹介せず,いま話したいことを話せたのだと思いますが(笑),その話はとても面白かったです.
<この記事は「デジマのあれこれ」にて2017年1月頃公開された記事を移植したものです>
なお,山崎氏が代表を務める「ゼロスタート」は2018年現在「ZETA」という社名に変更されています.
そのときとったメモが以下のものです.
=============================
【B-6】人工知能に期待されるオムニチャネルの進化とビッグデータ活用の実践:山崎徳之 [ゼロスタート]
近年のWebマーケティングにおけるバズワードの推移:ビックデータ(2012~)→オムニチャネル(2013~)→人工知能(2015~).なお,オムニチャネルと人工知能の間にオートメーションが一瞬存在する.
ビックデータやオムニチャネルがようやく本当に広まる時期になった.ただし,そこには人工知能が大きく寄与することが前提.
オムニチャネル:デジタルに売上を侵食され始めた店舗側の防衛策.
ビックデータ:有意なデータのみを抽出して活用することが重要.データの善し悪しを見極める.例えばレコメンドは本やCD等にはうまくいくが,日用品に関しては情報が薄すぎて有効的な活用は期待できない.
人工知能:マーケティングへの活用においては人の「仮説」が影響していた特徴量抽出の自動化が期待されている.
パーソナライズ:ユーザーへの有効なアプローチとなる「テーマ」.
オムニチャネルが「場所」,ビックデータが「素材」,人工知能が「道具」の役割をし,この3つが結びつくことでパーソナライズに対応.
オムニチャネル化と共にパーソナライズが売上を左右する.
マーケティング最大級の伸びしろ.取り組まないと売上は伸びない.
行動なパーソナライズ:ユーザー行動予測.
機械学習は人工知能に取り込まれ進化し様々な場所で活用.レコメンドはまさにそれに該当(精度を上げるならビックデータを活用したパーソナライズ).
マーケティングのデータ分析への活用では機械学習の変数の設定や特徴量の抽出が注目を集めている.特徴量の抽出はこれまでも統計解析(多変量解析など)で行われてきたが,それが大規模で出来るようになったのがポイント.
ビックデータは昔と今では意味合いが異なる.今は,より分けや,そのデータの色を見分けることが重要.それによってクラスタイリングなどの精度が向上.
良質なデータが増えることでより高度なパーソナライズが実現されていく(進化するオムニチャネル).
それがようやく実現できる環境になってきた.
=============================
この講演以降に何度か,山崎氏の講演を聴きましたが話のまとまりがちょっと中途半端になってしまったものや自社サービスをからめたものにもなっていて,上記の2016年3月の講演以上のインパクトはありませんでいた.ですが.実践のマーケティングに関わっていてかつ人工知能に関してわかりやすく明確にどのようなものであるかを話せる一番の人物だと思います.
MarkeZineやWeb担当者フォーラムなどの基本自社サービスの紹介の場となるようなシンポジウムでにおいて,その話を聞いて有意義だと思える方だと思います.ただ,人工知能に関する話は昨年のシンポジウムでの講演を最後にしてしまうようですが.
山崎氏の人工知能に関する記事は,
人工知能で明日のビジネスは変わるのか?
人工知能×ECことはじめ一覧
などで読めます.もともとEC関係のシステムサービスを展開している方なので,ECzineでコラムをよく書いているようですが,人工知能の話ではそれ以外でもやはり需要があるようです.この執筆量を見ると,本人も話すことが好きなのでしょうね.