アクセスしてきたユーザーの組織情報をGoogle Analyticsに蓄積するサービスを提供している会社

本サイトでは以前,Google AnalyticsをカスタマズしてIPアドレスを取得する方法を,ユニバーサルアナリティクスやグローバルサイトタグの場合で紹介しました.

GA(analytics.js版)でIPアドレス・クライアントID等を取得する(PHPファイル使用版)

GA(analytics.js版)でIPアドレス・クライアントID等を取得する(外部サーバー使用版)

GA(gtag.js版)でIPアドレス・クライアントID等を取得する(PHPファイル使用版)

IPアドレスがわかると,いろいろビジネスに活用できたりします.その一つがIPアドレスからアクセスしている人の所属組織がわかる(場合がある)ということです(記事「IPアドレスの情報を利用してビジネスチャンスを広げる – 無料で出来そうなこととは?-」などを参照).BtoBの分野だと自社サイトに訪れている企業などがわかると,その情報を自社の営業など活用できたりします.ですから,そのような情報を提供するサービスを展開している会社も存在します.例えば,下記の2社です.

ランドスケイプ 企業データベースLBC

https://www.landscape.co.jp/service/lbc/

株式会社Geolocation Technology どこどこJP

http://www.docodoco.jp/

業務で,上記の2社のサイトへの実装をやったことがあります.企業データベースLBCもどこどこJPも共に,独自のJavaScriptのコードとGoogle Analyticsを使ってデータを収集します.つまり,専用のJavaScriptのコードをサイトに設置し,それで取得したデータを(Google Analyticsのカスタムディメンションを使い)Google Analyticsに送ってデータを蓄積していきます.

企業データベースLBCのJavaScriptのコードに関しては,htmlに直接記載するのではなくphpファイルにJavaScriptのコードを記載して,それをGoogle Analyticsのトラッキングコードの前に読み込ませるような仕様です(ちょうど,記事「GA(analytics.js版)でIPアドレス・クライアントID等を取得する(PHPファイル使用版)」で書いたようにphpファイルを使う方法で実装する方法が説明として送られてきました.もちろんhtmlに直にJavaScriptのコードを書くようにしても実装できます).

一方,どこどこJPのほうは,htmlに直にJavaScriptのコードを記載します(Google Analyticsのコードを直接カスタマイズします).したがって,ソースコードを見れば,どこどこJPを使っていることがすぐわかります.

どちらもGoogleタグマネージャー(GTM)でも実装可能ですが,企業データベースLBCのほうは,ちょっとやっかいでした.Google Analyticsをデフォルトで使っている場合(GTMのユニバーサルアナリティクスタグを使って単純に実装している場合)はたぶんマニュアル通りに実装すれば問題ありません.ですが,私が関わったケースでは,クライアントIDやそのほかのデータも取得している状態に,実装するものでした.このとき,マニュアル通りでは企業データベースLBCが動かず,いろいろやってなんとか解決策を見つけました.ただしそれでも完璧に解決したわけではありませんでした.具体的にどのようなことが起きたかというと,あるユーザーが例えば1秒以内でページを移動した場合,クライアントIDでそのユーザーの行動を追ってみると,その1秒以内で移動したページでの組織情報は取得できない場合がありました.これは,企業データベースLBCのコード読み込み速度などの問題のようです.つまり,企業データベースLBCのJavaScriptのコードが処理される前に移動してしまったとか起きたようです.また,同じ企業から違うPCでアクセスした場合でもなぜか,片方は組織情報が取得できていないという現象も起きました(これは原因不明のまま).このようなことがあったので,企業データベースLBCのランドスケイプの担当者とやりとりしましたが,対応はいまいちでした(Google AnalyticsのクライアントID取得のことも知っていなく,ネットで検索して出てきたことを送ってくるだけでした).

どこどこJPの方は,カスタマイズの方法は割とシンプルなので,GTMでも実装は簡単にできました(クライアントIDなどを取得しているカスタマイズとも問題なく併用できました).ただ,提供されているマニュアルに書かれているGTMを利用した場合の実装方法は,GTMのコードの前にどこどこJPのJavaScriptのコードを書くというあまりスマートな方法ではありません(GTMを使っている意味が薄い方法です.今は変わったかもしれませんが,私が見たマニュアルではそのような方法した.Google AnalyticsやGTMを知っていて,JavaScriptのコードが多少わかる程度であれば,GTM内に該当するタグをすべて実装することは容易にできると思います).あと,昔はどこどこJPはIPアドレスのデータをGoogle Analyticsに送っていたはずなのですが,今はIPアドレスそのもののデータはどこどこJPでは取得できなくなっている(Google Analyticsに送られない)ようです.

企業データベースLBCとどこどこJPともに,それぞれのシステムにある名簿(データベース)にある企業が訪れた場合にのみGoogle Analyticsにデータが蓄積されます.したがって,名簿に該当する組織名が登録されていないIPアドレスからのアクセスではGoogle Analyticsのカスタムディメンションにはなにも情報がたまりません.それ故に,実装がちゃんとできたかを確認するのはちょっと面倒です(この場合,各社の担当者に話をしてアクセスしてもらうという方法が一番いいと思います).

さて,企業データベースLBCのデータベースとどこどこJPのデータベースはもちろん異なります.したがって,同じサイトのアクセスを計測した場合でも,企業データベースLBCの計測データとどこどこJPでの計測データに差が出てきます.実際に,どれほどの差が出るかをちゃんと確認する機会がなかたのですが,ちらっと確認した範囲でも差が実際にあることは確認しました.

どちらを導入しようか迷っているなら,可能なら2つ同時にお試し(テスト)導入をしてみて実際にくらべて検討するのがいいと思います.

<この記事は「デジマのあれこれ」にて2018年3月頃公開された記事を一部改良して移植したものです>