IPアドレスの情報を利用してビジネスチャンスを広げる – 無料で出来そうなこととは?-

記事「Google Analytics(analytics.js版)をカスタマイズしていろいろなデータを集計する(PHPファイル使用版)」や記事「Google Analytics(analytics.js版)をカスタマイズしていろいろなデータを集計する(外部サーバー使用版)」や記事「Google Analytics(gtag.js版)をカスタマイズしていろいろなデータを集計する(PHPファイル使用版)」で紹介した方法を利用することで,Google AnalyticsでIPアドレスを収集できるようになりました.そこで,この得られたIPアドレスをどのように活用してビジネス面でどのような利用があるかを考えてみたいと思います.

 

1.IPアドレス

まず,IPアドレスとは簡単に言うとインターネットにおける住所みたいなものです.この性質からそのIPアドレスの情報から,サイトに訪れている人が所属する組織(企業や公共機関)がわかることがあります.したがって,その情報を使えば,どのような組織の人がサイトに訪れて,どのようなページを見ていたかがわかります.

Google Analyticsのカスタマイズによって,ユニークユーザーを識別するクライアントIDとそのIDに紐付けられたアクセス時間とパス(閲覧したページ)も取得できるとことは記事「Google Analytics(analytics.js版)をカスタマイズしていろいろなデータを集計する(PHPファイル使用版)」などで紹介しました.ということは,ある組織(IPアドレス)のユーザー(クライアントID)が,サイトにいつ訪れどのページを見ていた(アクセス時間とパス)がわかるのです.この情報をうまく使うことで,お客は何を知りたいのか・何を求めているのかなどが推測でき,営業なども活用できる可能性があります.

 

2.IPアドレス情報の利用での問題点

ただし,上記の話はうまくいった場合です.ただしこのIPアドレス情報の利用にはいくつか問題があります.例えば以下の3つです.

 

(1IPアドレスがわかっても訪問者の所属する組織が必ずわかるとは限らない.組織が判明するのは固定IPアドレスを持っている組織に限る(企業が固定IPアドレスを取得する場合は当然お金がかかる).そのため,固定IPアドレスを持っていない組織からのアクセスは,通常は使用しているプロバイダが所有しているIPアドレスとなる.

(2)Google Analyticsで取得できるIPアドレスの情報は3桁の数字の4つが組み合わさった情報である.したがって,その情報を見ただけでは例え固定IPアドレスであってもどこの組織であるかを判断するのは難しい

(3)国によってはIPアドレスの情報取得を禁止しているところがある(ヨーロッパではこのような国があるようです.日本国内では問題無いのですが,ただIPアドレス情報を利用したサービスに関しての特許などはあるので,いくらか注意は必要です).

 

(3)の問題はとりあえず無視して,(1)と(2)の解決策はないのか?となりますが,(1)に関しては残念ながらありません.ただIPアドレスからアクセスしている地域がだいたいわかりますので,その情報を活用した場合は使いようがあると思います.(2)に関しては,無料でIPアドレス・ドメインを調査できるサイトとして,以下のようなものがあります.

IPひろば

http://www.iphiroba.jp/index.php

WHIIS Gateway

http://whois.nic.ad.jp/cgi-bin/whois_gw

サーバー監視

http://www.cman.jp/network/support/ip.html

これらを使うことであるIPアドレスがどのような組織に所属しているかなどを調べることが出来ます.ただし,IPアドレスの種類は膨大ですから,サイトにアクセスしているすべてを上記サイトのみで調べることはとても出来ないと思います.

 

3.無料できそうなツールなど

そこでうまく活用できそうなのがYahoo!アクセス解析です.これはYahoo!が無料で提供しているアクセス解析(注:Yahoo!プロモーション広告を利用していると問題無いですが,それを使っていないと1年ほどで使用できなくなるという話を聞いたことがありますがちゃんと確認したことはありません)ですが,Google Analyticsほど自由度が高かったり多くの情報は得られません.しかし,「組織分析」というレポートが存在します.

Yahoo!アクセス解析

https://analytics.yahoo.co.jp/feature.html

組織分析:どのような組織(会社・団体など)からサイトへの訪問が多いのか、独自データをもとに、業種別に傾向を判別。初めてサイトに訪問した組織も、日別でトラッキングすることが可能です。

この組織分析のレポート画面ではサイトに訪問した組織の一覧を見ることができます.このレポートの組織はIPアドレスの情報を元に作られています(ただし,IPアドレスの数値自体は表示されないのでわかりません).この組織の情報を使って,

WHIIS Gateway

http://whois.nic.ad.jp/cgi-bin/whois_gw

の「ネットワーク情報(組織名,Organization)」にてその組織に割り当てられている(その組織が所有している)IPアドレスを調べるのです.例えば,図1のように「ネットワーク情報(組織名,Organization)」を選択して「東京大学」と検索してみます.すると,図2のように結果を返してくれます.

 

図1.東京大学に割り当てられているIPアドレスの番号を調べる

 

図2.東京大学に割り当てられているIPアドレスの一覧

 

基本的に固定IPアドレスを持っている組織ならこのようにしてわかります(ただし完全ではありません).したがって,Yahoo!アクセス解析の組織分析に表記される組織ならば通常は上記のようにして,その組織が所有するIPアドレスがわかります.

この情報をGoogle Analyticsで取得したIPアドレスにフィードバックすれば,多く訪問していた組織のクライアントIDがどれかがわかり,それがサイトのどのページをどれぐらい見ていたかがわかるかもしれません.このような情報をうまく利用することでビジネスチャンスを広げられるかもしれません.

 

4.IPアドレス情報をビジネスとして提供している会社

ただ上記のような作業をすべて手作業で行おうとするのはかなり大変です(というか大規模には無理だと思います).

上記の方法は,無料で出来そうなIPアドレスの情報を利用したビジネスチャンスの拡大方法です.一方で,このようなIPアドレスの活用をビジネスツールとして提供しているところは当然存在します.以下はそのようなサービスを提供している会社の一例です.

ランドスケイプ 企業データベースLBC

https://www.landscape.co.jp/service/lbc/

サイバーエリアリサーチ株式会社(どこどこjp)

http://www.docodoco.jp/

B2Bが主要なビジネスであるような場合はこのようなサービスの活用を当然検討すべきだと思います.とくにMA(マーケティングオートメーション)と組み合わすことで使い方によってかなり効果的だと思います.ただし,当然これらの企業でもIPアドレスから組織を割り出しているので,固定IPアドレスを持っていないような組織からのアクセスは特定できません(ユーザー登録してもらうなどで,その情報とクッキーを紐付けられれば別ですが).

 

<この記事は「デジマのあれこれ」にて2017年5月頃公開された記事を一部改良して移植したものです>