Google Analyticsで,Chrome(クローム)を使った外部サイトのリンクから(メディア「referral」)の流入において参照URLの情報が得られなくなったということなので,実際に確認してみました.なお,Firefoxもバージョン87から同様の仕様になったということです
目次
1.はじめに
現在一番多くのシェアをもっているブラウザは,GoogleのChromeです.この記事の投稿時では最新バージョンが86となっています.このChromeがバージョン85からさらにプライバシー保護に力を入れ始めたそうで,それによりGoogle Analyticsなどでアクセス解析をしている人にはさらに寒い時代になりました.理由は,Chromeがメディア「referral」の流入において参照URLの情報を渡さない(送らない)仕様になったからです.そして2021年3月にMozillaが,2021年3月リリースのFirefox87から同様の仕様にすると発表しました.
2.GAの参照元・メディア・参照URLを確認
外部サイトで自社(自分)のサイトがハイパーリンク付きで紹介されていて,あるユーザーがそのリンクをクリックして自社サイトに流入した場合,Google Analyticsではそのユーザー(ブラウザ)の流入を参照サイトからの流入として扱いメディアの情報を「referral」とします.
その結果,この参照サイトから流入は,Google Analyticsの「集客 > すべてのトラフィック > チャネル」のレポートでDefault Channel Groupingで「Referral」または「Social」に分類されます(図1参照).
この「集客 > すべてのトラフィック > チャネル」のレポートでプライマリーディメンションを「メディア」に変更すると,チャネルグループが「Referral」と「Social」であったセッション数の合計が,メディア「referral」のセッション数と等しいこと確認出来ます(図1と図2参照).
このようなメディア「referral」に紐付く参照元の情報が上記での外部サイトになります.図1のレポートでセカンダリディメンションとして「参照URL」を追加すると,参照元の情報以下のURL(わいゆるPath)の情報が確認できます(図3参照).
つまり,例えばGoogle Analyticsで「参照元/メディア」が「exampleAA.com / referral」だった場合で,参照URLが「/refer-test.html」だった場合,
https://exampleAA.com/ refer-test.html
に,ユーザーが流入につかった自社のサイトへのリンクがあるとわかります(図4は「集客 > すべてのトラフィック > チャネル」のレポートでプライマリーディメンションを「参照元/メディア」にして,セカンダリディメンションとして「参照URL」を追加した場合).
注意として,メディア「referral」に分類されるものは外部サイトだけではありません.広告や自然検索やURLを直接入力した場合などとGoogle Analyticsが判別できなかったものは,メディア「referral」として扱われます.検索サイトでもGoogle Analyticsが検索サイトと認識していないものであれば,自然検索(メディア「organic」)に分類されません.そのような検索サイトはプロパティ内の設定で検索サイトとして認識させることができます(記事「Google Analyticsで日本固有の検索エンジンを追加する」参照).また,広告もGoogle広告以外はパラメータをつけないとメディア「referral」となってしまいます(記事「Google AnalyticsとAdWordsのリンクでの諸注意」や「Google Analyticsの広告流入を計測するための手動タグ」参照).設定をどうするかでメディア「referral」とされる流入数はかなり変わります.
3.Chromeの新たな仕様
さて上述したようにブラウザのChromeはバージョン85からこのメディアが「referral」となる流入の場合に,参照元となったサイトの詳しい情報を送るのをやめるそうです.ただし,バージョン85すべてでそのような仕様にはなっていないようです(おそらくバージョン85.XXXXXとなっている「85」以下の「XXXXX」のバージョン違いでその差異があるのだと思います).
新しい仕様では,2節で示した例の場合ですと,
参照元/メディア:exampleAA.com / referral
参照URL:/
となります.つまり参照URLの情報がすべて「/」だけになり,外部サイトのどのページあるリンクをクリックして流入してきたのかの詳細を知ることができなくなります.
実際にテストをしてみました.ある外部のサイトに「/refer-test.html」という自社サイトへのリンクがあるページを作り,FirefoxとChromeそれぞれで流入をしてみました.このテスト結果を確認するためにGoogle Analyticsの図5のようなカスタムレポート(種類:フラットテーブル; ディメンション:ブラウザ,ブラウザのバージョン,参照元/メディア,参照URL; 指標:セッション; フィルタをテストで使った「参照元/メディア」の情報と一致を使う)をつくりました.
結果は図6です.Firefox(バージョン81.0)では参照URLが「/refer-test.html」となっていますが,Chrome(バージョン86.0.4240.75)では参照URLが「/」となっているのが確かに確認できます.
4.おわりに
Chromeのこの仕様変更は,プライバシー保護の観点からのようです.記事「Cookie規制・ITP2.3に関係する情報(影響・対策等)のまとめ」で紹介したようにサードパーティクッキーを扱わないようにする変更は2年以内でしたが,こちらは一気に行われた感じです.Firefoxも同様にプライバシー保護のために同様に仕様が採用されました.
AppleのITPの環境下では,すでに同様な状態(つまり参照URLが送られなくすべて「/」となる)になっています.ITPの環境下ではGoogle Analyticsのクッキーも短期間で消されることがあるので,そのような場合(例えば,外部サイトから流入してブックマークして,一ヶ月後にそのブックマークで再訪問した場合などは「(direct)/(none)」になります.
なお,自社サイトがSSLに対応していない(URLが「http」となっている)サイトで,流入元の外部サイトがSSLに対応している(URLが「https」となっている)サイトだった場合は,「参照元/メディア」が「(direct)/(none)」となります.
参照サイト
Chrome85でWebサイトの流入元がとれない問題と対応方法
「Firefox 87」からはプライバシー保護のために新たなリファラポリシーが採用される