ChatGPTが大きく注目されてから,いろいろな生成AIのサービスが登場して,各社(各AI)で競争が繰り広げられています.GA4のデータを見ていると,2024年7月からサイト流入に生成AIのサービスサイト(おそらく,回答に資料として添付されたソースなど)からの流入(アクセス)があることが,本サイトでも計測されています.そのデータなどを紹介します.
目次
1.生成AIとWeb検索の昔と今とこれから
私も生成AIを用途別でいくつか利用しています.ですが,そこまで頻繁に使っているわけでもなく(無料ユーザーです),関連情報に目を光らせているというわけでもありません.そこでChatGPTに「生成AIの結果に最新のWeb検索結果が反映されるようになった経過を教えてください.」と聞いてみたところ,以下のような回答をもらいました.
===ChatGPTの回答(始まり)===
生成AIの結果に最新のWeb検索結果が反映されるようになった経過を、時系列で説明します。
- 初期の生成AI (〜2022年)
- 生成AI(例:GPT-3、BERT など)は、大量の事前学習データをもとにテキストを生成するが、最新の情報は反映されない。
- 検索エンジンとは連携せず、学習時点のデータに基づいて回答する仕組み。
- 例えば、GPT-3(2020年公開)は、2021年時点の情報までしか知らない。
- Web検索との連携開始 (2023年)
- Bing AI(GPT-4搭載) や Google Bard(後のGemini) など、Web検索と組み合わせた生成AIが登場。
- 検索エンジンが最新情報を取得し、それをもとにAIが回答する機能が実装される。
- 主な仕組み
- AIがユーザーの質問を理解 → Web検索を実行 → 検索結果をもとに回答を生成。
- AIの回答とともに検索結果のリンクを提示し、情報源を明示。
- リアルタイム検索の進化 (2024年)
- Google、Microsoft、OpenAIなどが、最新情報を組み込む機能を強化。
- ChatGPT(GPT-4 Turbo)にブラウジング機能が追加(ChatGPT Plusで利用可能)。
- Web検索を利用して最新情報を取得し、回答を生成。
- ニュースやスポーツ結果、最新の技術情報などをリアルタイムで反映できるように。
- Google Gemini も Web検索を統合し、リアルタイム情報を反映。
- 検索エンジンと生成AIの統合強化 (2025年〜)
- 検索エンジンが直接AI生成の回答を表示する形が一般化。
- Google SGE(Search Generative Experience) が正式リリースされ、検索結果ページにAIが要約を表示。
- Bingも「Copilot」として、検索とAIを統合した検索体験を提供。
- 企業向けにも、AIがリアルタイム情報を検索して業務支援する仕組みが普及。
まとめ
- 2022年以前:生成AIは学習済みデータのみを使用。
- 2023年:Bing AI・Google BardがWeb検索と連携。
- 2024年:ChatGPT(GPT-4 Turbo)にブラウジング機能が追加。
- 2025年〜:Google SGEやBing Copilotが検索と生成AIを統合。
現在、生成AIはWeb検索と連携し、リアルタイムの情報を取り入れた回答が可能になっている。
===ChatGPTの回答(終わり)===
上記の回答の通り,最初は学習済みのデータを使った回答で,しばらくするとBingがGPT-4を搭載してWeb検索と組み合わして回答をする環境だった記憶があります.
その後,ChatGPTのサービス(OpenAIのサービス)以外のサービスが生成AIとWeb検索の連携することを強く推し進めていた印象でしたが,現在はChatGPTも完全にリアルタイム情報を反映した回答もできるようになっています.2025年以降は,上記のChatGPTの回答のように,検索と生成AIの統合が進むのでしょう.
2.本サイトで計測された生成AI関連のアクセス
GA4の計測データを見てみると,生成AI関係と思われる流入のセッションは,「セッションのメインのチャネルグループ」の「Referral」に分類されていました.
その生成AI関係と思われる流入のセッションの「セッションの参照元 / メディア」は,「chatgpt.com / referral」と「gemini.google.com / referral」と「perplexity.ai / referral」と「felo.ai / referral」です(もしかしたら,その他にもあるかもしれませんが,とりあえず気付いたのはこの4種です).
- 「chatgpt.com / referral」は,もちろんChatGPT( https://chatgpt.com/ )です.
- 「gemini.google.com / referral」は,GoogleのAIのGemini( https://gemini.google.com/?hl=ja )です.
- 「perplexity.ai / referral」は,Perplexity( https://www.perplexity.ai/ )は,AIとWeb検索の統合を進めているAIチャットボット型の検索エンジンのサービスです.
- 「felo.ai / referral」は,日本発の AIスタートアップ企業であるSparticle社のAI検索エンジンFelo( https://felo.ai/ja/search )のサービスです.
該当Webサイトが英語だと他のAIサービスの計測もありそうですが,本サイトは完全に日本人向けの日本語サイトですから,上記の4つだけでも生成AIの検索に十分反映されていると言えるのかもしれません.
GA4のデータ(図1は,Looker Studioで「chatgpt.com / referral」と「gemini.google.com / referral」と「perplexity.ai / referral」と「felo.ai / referral」の流入のみを集計したグラフとテーブル)を見てみると,2024年7月からこれらAIサービスに関連した流入が本サイトで計測され始めました.とくに,「perplexity.ai / referral」の流入は毎月あります.

図1.Looker Studioで「chatgpt.com / referral」と「gemini.google.com / referral」と「perplexity.ai / referral」と「felo.ai / referral」の流入のみを集計したグラフとテーブル.
それらAIサービスに関連した流入のランディングページは,いくつもあるのですが,
記事「Google Analytics 4でスクロール率を追加計測しレポートを作る」
記事「Google Analytics 4でリファラスパムを計測したので対策の設定を行ってみる」
記事「Looker Studioで「Google Analytics 4の月別・週別・日別レポート」を作ってみた」
が,現状のアクセス上位の記事でした.これは,普通の検索流入での結果と似た感じです.
ですが,生成AIサービスの流入数の割には意外と多くのページがランディングページになっているようにも感じました.
3.Perplexityで実際に流入をしてみる
現状一番流入が多いPerplexityを使って,本サイトが出るかを確認してみました(現在,Perplexityはユーザー登録をしなくても使えますので,その状態で使ってみました).
「GA4でWebサイトのスクロール率を計測する方法」と入力して(図2参照),回答をしてもらいました.

図2.Perplexityに「GA4でWebサイトのスクロール率を計測する方法」と尋ねる.
回答の本文内のソースのリンクでは本サイトは見つからなかったのですが,上記にある「+5 ソース」のエリアをクリックすると右に表示された8のソースの7番目に本サイトの記事「Google Analytics 4でスクロール率を追加計測しレポートを作る」がありました(図3の赤枠内).これをクリックすると,該当記事が別タブで開きます(一連の動作を録画してみましたので,下記の動画を参照してください).

図3.Perplexityの回答.
このような感じで,生成AIサービスサイトで質問された内容の回答のソースとしてWebサイトのリンクが記載されていた場合,そのリンクを使ってサイトに流入するとGA4ではそのアクセスを「Referral」のチャネルとして処理します.上記のPerplexityの例だと,「セッションの参照元 / メディア」が「perplexity.ai / referral」となります(もちろん,状況によっては「ユーザーの最初の参照元 / メディア」も「perplexity.ai / referral」となるでしょう).
なお,生成AIなので毎回同じ回答になるとは限りません.実際,同じ「GA4でWebサイトのスクロール率を計測する方法」と入力した回答で,本文中にリンクがあり,ソースで5番目の場合もありました.
現状の生成AIサービスに関連する流入は,このPerplexityの回答のようにまとめた内容のソースとして表示されたリンクをクリックしたものだと思います.今後のWeb検索と生成AIの統合がどのように進化するのか,どのように変わるのかはまだわかりません.Web検索そのものが生成AIを内蔵するものになるかもしれません.
4.おわりに
生成AIの回答はもちろんすべてが正しいわけではありません.実際,Perplexityに数学に関するある質問をしたところ(これにはPerplexityにログインをして「Deep Research」という複雑なトピックに関する詳細なレポートの機能を使いました),それなりのレポートをしてくれたのですが,情報が薄く感じる所や,明らかにおかしい所も見つけました(もちろんソース付きで示してくれましたが,そのソースからまとめている内容が期待外れだと感じたりもしました).
Webマーケティング関連の情報はネットに多くあるので,上記の私が聞いた数学の質問の回答よりは,より有益な情報をまとめてくれるとは思うのですが,それでもソースを含め検証は必要です.