リクルートテクノロジーズの機械学習「A3RT」はその後どうなっているのか

1.はじめに

記事「リクルートテクノロジーズの機械学習APIを試す」を書きましたが,その後このリクルートが提供するサービス「A3RT」はどうなるのか?どうなっていくのか?などを私なりに考えてみました.以前の記事にも書きましたが,A3RT(https://a3rt.recruit-tech.co.jp)で現在公開されている機能は,

  • Listing API:データから相関などを見つけてリストを生成するためのAPI
  • Image Influence API:画像認識関係のAPI
  • Text Classification API:文章の分類を行うAPI
  • Text Suggest API:文章の自動生成および入力補助を実現するAPI
  • Proofreding API:文章として怪しい箇所(ケアレスミス)などを検知するAPI
  • Talk API:チャットボットを作成するためのAPI

です.

<この記事は「デジマのあれこれ」にて2017年5月頃公開された記事を一部改良して移植したものです>

約2ヶ月前(2018年3月)にProofreding APIを試してみました.その結果を簡単にまとめると,サンプルとして「システムの海発・運用まで幅広く関われます。」をProofreding APIに判定させたところ,明らかに間違いである「海発」は指摘されず「運用」が間違いである可能性を指摘したというものでした.詳しくは記事「リクルートテクノロジーズの機械学習APIを試す」を参照してください.

 

2.公開二ヶ月後の現状

現在どうなっているかを同じテキストを使って確認していました.結果は,二ヶ月前と全く同じです.

 

図1

 

{"status": 1, "message": "pointed out", "alerts": [{"checkedSentence": "システム の 海発 ・ <<運用>> まで 幅広く 関われ ます 。", "alertCode": 0, "alertDetail": "a little unnatural", "word": "運用", "rankingScore": 0.03437246306218542}]}

 

改善も進歩も確認出来ません.そもそも公開されているシステムはリクルートが社内で活用しているものではなく対外向けのシステム(昔のバージョンとか)であるのかもしれません.けっこう大きく発表したわりには・・・と思わずにはいられません.無料なのに厳しいこと言ってるなと思うかもしれませんが,記事「MarkeZineDay 2016 A.I. に参加して・その1」にて書いたのですが,このリクルートの人工知能開発の中心的人だった石山氏の講演で自慢げに話した内容からすると,A3RTのいまの現状どうなの?と思ってしまうのです.

 

3.リクルートの人工知能開発の中心的人だった人は・・・

ところで「リクルートの人工知能開発の中心的人だった石山氏」と「だった」と書いたのは,彼は3月末にリクルートを退社していたと知ったからです.詳しくは,以下の記事を参照してください.

リクルートでAI研究所を立ち上げた石山氏が退職して取り組むのは「介護xAI」のスタートアップ

http://jp.techcrunch.com/2017/05/09/digital-sensation/

この記事を読むと,彼がリクルートよりさらに大きなAI関連の企業にヘッドハンティングされたわでもないことがわかります.

1年ほど前の彼の講演では,人工知能の世界的権威の教授(外国人)をリクルートAI研究所にヘッドハンティングしてきた,自分たちが人工知能を活用した新たな社会の仕組みを作りたい,それを広く活用してもらえるようにしたいと威勢良く言っていたのですが,その思いはどうなったのでしょうか?結局できたのでは,なにか中途半端なものにしか見えないA3RTの公開でしょうか?

人工知能をリードする一翼を担うには,IBMやGoogleやMicrosoftなどと当然競わなくはいけません.それがいまの日本企業にはハードルがどれほど高いかなんてことは門外漢の私でもわかります.ですが石山氏の講演での話とその後の行動,そしてA3RTの現状をみるといろいろな意味で残念ですねと言いたくなりました.

 

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