Apple系OSのデフォルトのブラウザ「Safari」ですが,バージョン11からITP(Intelligent Tracking Prevention)が搭載されCookie情報がいろいろいと制約されるようになりました.個人で使うにはプライバシー保護の面でいいとは言えますが,Web広告やアクセス解析などCookieを活用してきたウェブマーケティングではかなりの問題です.Googleは,このITPへの対策として例えば「グローバルサイトタグ」というものをGoogle AnalyticsやGoogle広告で導入しました.
Safariのバージョンが12.1になると共にITPのバージョンが2.1になってこれまで以上にいろいろな制約がおきるそうです.その制約の一つが,「JavaScriptが扱えるCookieが7日間までしか使えなくなる」ということで,いまのままだとGoogle AnalyticsのCookieの有効期限が7日になってしまうことになりそうです.(2020年9月におけるITP2.3での影響は記事「Cookie規制・ITP2.3に関係する情報(影響・対策等)のまとめ」を参照してください).
Google AnalyticsのCookieはクライアントIDと呼ばれていて,この値は「ユーザー > ユーザーエクスプローラ」にてデフォルト機能でも確認できます(図1参照).同じブラウザをつかってアクセスしていれば,Cookieが消されたり有効期限が切れない限り,このIDは共通の値となっています.つまり,このID番号を追えば,そのユーザー(ブラウザ)のアクセス履歴をずっと追えるわけです.Google Analyticsで新規ユーザーやリピーターなどの区別もこのクライアントIDで判断されています.
それが,ITP2.1になると7日でリセットされてしまうというのです.つまり,Google Analyticsで計測しているサイトに,Safari12.1を使ってアクセスしてきたユーザーが8日後に再訪問した場合,そのユーザーはリピーターでなく新規ユーザーとして扱われるのです.
詳しくは,
ITP2.1のJavaScript生成cookie7日間問題と対策方法
を参照してください.「JavaScriptが扱えるCookieが7日間までしか使えなくなる」こと以外に起きる問題や対策などが解説されています.Google AnalyticsもlocalStorageを活用した対策が書かれていますが,Googleタグマネージャー(GTM)で実装している場合はどうしたら良いのか(とくにGTMでカスタムディメンションを使っていろいろと収集するカスタマイズをかなりしている場合は)・・・,JavaScriptに詳しい人に相談するしかないかもしれません.
一番期待したいのはGoogleがITP2.1対策をしてくれてそのまま使えることなのですが,どうでしょう.期待はしていますが.ちなみにYahoo!のSSL化への対策は,Yahoo!がSSL化のテストを本格的に始めて2ヶ月ぐらいで対策してくれた感じです. 比較的スマホでのアクセスが多いサイトで直近のデータ(「ユーザー > テクノロジー > ブラウザとOS」)を見たところ,いまのところSafari12.1のアクセスはありませんでした(図2参照).ですが,Safari12.0のアクセスが大量にあったのでGoogleが早く対策をしてくれることを期待しています.